Web予稿集

Sept. 17 2025
9月17日

口頭発表 09:30-10:10 行動・認知

座長:近藤 亮太(東京大学)

1F1-01
VR空間におけるアバターの外見と声量が会話意図を伴う対人距離評価に及ぼす影響
〇田澤 賢太朗(東海大学)、永田 裕幸(東海大学)、大林 聖佳(東海大学)、水谷 賢史(東海大学)
本研究では、VR空間における模擬対面面接を想定し、アバターの外見(3種)と声量(3段階)の組み合わせが、会話開始に適すると感じる対人距離に与える影響を検討した。対人距離の測定はストップディスタンス法にて行った。結果として、外見と声量の交互作用により有意な距離差が確認された。本知見は、VR面接や対話支援環境の設計に貢献する可能性がある。
1F1-02
メタバース空間でのユーザ行動データの定量分析を通じた実世界ブランディング効果誘発要因の探索
〇時田 聡実(クラスターメタバース研究所、東京大学)、廣井 裕一(クラスターメタバース研究所)、上杉 雅(クラスター株式会社)、下野 敦士(クラスター株式会社)、鈴木 晴之(TOPPAN株式会社)、安部 彰馬(イオンリテール株式会社)、平木 剛史(クラスターメタバース研究所、筑波大学)
本研究の目的は、メタバース体験が実世界でのブランディング効果に与える影響メカニズムの設計指針を構築することである。近年、企業が商用メタバースプラットフォームでのイベントを活用しているが、具体的なユーザ行動と施策効果の関係性は未解明である。そこで、Cluster内のイベントにおける814名のユーザの行動データの定量分析を通して、従来の主観的評価だけでは捉えきれない来店意欲の誘発メカニズムを探索する。
1F1-03
VRにおけるアバターの性別が食選択に与える影響
〇西口 美穂(立命館大学 BKC社系研究機構)、平山 水貴(立命館大学 食マネジメント学部)、水瀬 ゆず(横浜市立大学 研究・産学連携推進センター)、和田 有史(立命館大学 食マネジメント学部)
VRにおいて,アバターの外見が使用者の行動に影響を与える現象は,プロテウス効果として知られている。本研究では,VRを通して自由に料理を食べることができる状況で,アバターの性別が食選択にどのような影響を及ぼすかを検討した。大学生13名を対象に実験を行った結果,参加者は男性アバター使用時には肉類などの男性的食品,女性アバター使用時にはスイーツ類や野菜類などの女性的食品をより多く選択することが分かった。
1F1-04
他者アバタの人数が自己と他者の外見の相違による行動変容に与える効果
〇Hu Yong Hao(東京大学)、瑞穂 嵩人(東京大学)、畑田 裕二(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)
自己と他者のアバタ外見の差異はユーザの行動を変容することが知られている.本研究は社会的アイデンティティの観点から,自己と他者のアバタ外見の一致や他者アバタの人数が,この行動変容効果に与える影響を検証する.ソーシャルVR上に太鼓演奏タスクと,自己と他者のアバタの服装(法被・スーツ)を着せ替えるシステムを実装した.この実装を使用し,他者アバタの人数を2、24、99人と変化させ、参加者の動きの活発さや他者との同期を測定する実験を計画した.
1F1-05
没入型バーチャル環境における講師エージェントの数が記憶に与える影響の予備的調査
〇瑞穂 嵩人(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)、葛岡 英明(東京大学)
遠隔講義や非同期教育の効果を高めるため、講師役のバーチャルエージェントやアバタの設計が記憶に与える影響が調査されてきた。先行研究が主に外見の効果を調査してきたのに対して、本研究では没入型バーチャル環境内の講師エージェントの数が記憶に与える影響を調査する。2人の講師エージェントによる情報提示が、1人のエージェントを用いる場合よりも記憶課題の成績を向上するという仮説を立て、予備的調査を行った。
1F1-06
動作が機械的な共同行為相手との動作共有体験による社会的サイモン効果形成の検証
〇李 暁彤(東京大学)、畑田 裕二(東京大学)、峯 大典(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)
プログラム制御のぎくしゃくした動作や事前記録した人間の動作など,機械的に振る舞う他者との共同行為では,他者の動作の感覚運動情報を知覚できず,その動作を行動計画に組み込んで協調を成す結果として生じる社会的サイモン効果が生じにくい.これに対し,本研究では参加者が加重平均した自他の動作に含まれる他者の動作を,自分の運動制御の内部モデルに組み込むことにより,その動作の感覚運動情報を知覚できる特性を活かし,社会的サイモン効果の形成を目指す.
1F1-07
視覚的に異なる重力環境における捕球行動の適応と落下予測への波及
〇前川 朋也(京都大学人間・環境学研究科齋木研究室)、齋木 潤(京都大学人間・環境学研究科齋木研究室)
人間は、物体運動の予測において地球重力に従った内部モデルを用いるとされている。一方、VR空間で視覚的に異なる重力環境下にある物体を捕球する課題を行うと、その重力に対する感覚運動的な適応が生じうることが報告されている。しかし、それが重力の内部モデルに対する適応なのか、単なる運動特性への反応なのかは明らかでない。本研究では、異重力下での感覚運動適応が、物体の落下時間に対する予測に波及するかどうかを検討し、この適応が重力知覚レベルに及んでいるかを明らかにする。具体的には、視覚的に重力が操作されたVR空間において、捕球課題と落下時間推定課題を実施し、行動成績と眼球運動を分析し、視覚要素の変化のみで内部モデルが変容するか評価する。
1F1-08
遠隔協調作業における作業者の手アバタの違いによる指示者の印象変化の調査
〇田中 裕也(龍谷大学)、酒田 信親(龍谷大学)
実世界での作業を遠隔から教示する遠隔協調作業では、”対象物・場所の識別”、”手順の説明”、”理解の確認”といった手のジェスチャによって指示を伝達することも多い。このような遠隔協調作業では、従来型のFace to Face の遠隔コミュニケーションのように顔映像の共有だけでなく、手の映像を共有することも多かった。本研究は、このように手の映像を共有するタイプの遠隔協調作業を対象としており、外見の異なる複数のアバタの適用によって作業者の手の見た目や自由度を変更することで、指示者の作業者に対する印象変化を観測する。
1F1-09
性格印象空間における自己表象キャラクターの分布傾向
〇安田 隆哉(国立大学法人名古屋工業大学)、佐久間 拓人(国立大学法人名古屋工業大学)、加藤 昇平(国立大学法人名古屋工業大学)
本研究では,髪型と髪色の組み合わせによって生成されたキャラクター画像に対し,TIPI-Jを用いた印象評価を行い,性格印象空間を構成する.続いて,提示された画像群の中から,参加者に自己表象としてのアイコンを複数選択させる実験を実施し,得られた選択データを印象空間上にマッピングする.選択されたキャラクターの空間内での分布を分析し,自己表象としての選択傾向と性格印象との対応関係を検討する.
1F1-10
自己に類似した励まし方が内発的動機づけに及ぼす影響の基礎検討
〇飯村 颯斗(法政大学)、ソン ヨンア(法政大学)
本研究は,自分に類似した励まし方が内発的動機づけを促すと仮説を立て,自分に類似した音声と言葉で励ましの声掛けをするAIエージェントを実装し,提案システムが内発的動機づけや行動変容に与える影響を明らかにすることを目的とする.第一著者を対象とした6日間の実験及びオートエスノグラフィーによる質的分析を通じて,提案システムからの励ましが視点の転換や肯定的な感情を促すきっかけとして機能する可能性が示唆された.
1F1-11
先行車追従タスクにおける心理的作業負荷の調整に関する検討
〇内田 裕真(福岡工業大学大学院)、石原 真紀夫(福岡工業大学大学院)
VR運転シミュレータによる実験では運転者の運転特性を調べるために先行車追従タスクがよく使用される.一方で,本タスクがどのような心理的負担を運転者に与えるのかについては明確になっていない.本稿では,先行車の大きさや速度,先行車との車間距離を変えながら実験を行った.その結果,運転者の心理的負担は先行車の大きさに大きく依存し,その速度や車間距離の影響は小さいことが分かった.