Sept. 18 2025
9月18日
口頭発表 09:10-9:50 触覚3
座長:栗田 雄一(広島大学)
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触覚提示技術の応用シナリオの体系化に向けた予備的検討
〇宇治土公 雄介(NTT株式会社)、森崎 汰雄(NTT株式会社) - 触覚提示技術は、医療や教育など、様々な分野への応用の可能性を秘めている。触覚提示技術の応用シナリオを理解することは、提示技術の研究開発の方向性を定める上で重要である。本研究では応用シナリオを整理することを最終目的とする。触覚提示技術に関する研究者は、技術の特性を理解しているため、妥当な応用シナリオを断片的ではあっても文書化している可能性が高いと考えられる。そこで、研究論文から応用シナリオに関連する記述を収集することを考えた。まず、応用シナリオが記述されている文献についてそのタイプごとに特性を整理した。次に、今後応用シナリオを抽出する対象として有効と考えられる文献タイプを選定し、そのタイプの文献を収集した。

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衣服触覚特性の定量評価に向けた触覚データ収録システム
江口 満国(クラスター メタバース研究所、筑波大学大学院)、〇北岸 毅一(ZOZO Research、東京大学大学院)、廣井 裕一(クラスター メタバース研究所)、平木 剛史(クラスター メタバース研究所、筑波大学大学院) - 衣服の肌触りは着用者の快適性評価において重要であり、指や皮膚が衣服表面をなぞる際の物理的な触覚特性に由来する。本研究では、ロボットアーム先端の模擬指で衣服表面をなぞり、触覚データを収録するシステムを開発した。23種類の衣服から触覚データを記録し、機械学習器により衣服種類を一定精度で分類できることを示した。本成果は、主観的な衣服の肌触りを物理特性から客観的に定量化するための基盤技術として貢献する。

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静電気による体毛の動きを用いた受動的かつ非装着な柔らかさ提示システム
〇柄沢 未希子(電気通信大学)、梶本 裕之(電気通信大学) - 我々は,受動的かつ非装着で柔らかさを提示するシンプルな構成のシステムを模索する中で,静電気による体毛の動きが柔らかさ感を生じさせることを発見した.本稿では,静電気による体毛の動きを用いた柔らかさ提示システムを構築し,受動的かつ非装着な柔らかさ提示の可能性を検証した.さらに,体毛の動きによる時空間的変化が柔らかさ感を誘発できるとの仮説の元に,その変化を生じさせる制御方式の提案と予備評価を行った.

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積層セラミックコンデンサを用いたピンアレイ型触覚ディスプレイ(第一報) - 積層された積層セラミックコンデンサの振動特性検証
〇藤 亘輝(電気通信大学大学院)、関口 大陸(Point Grey Research Inc.)、溝口 泉(電気通信大学大学院)、梶本 裕之(電気通信大学大学院) - 実用的な触覚フィードバック装置には、コンパクトで高解像度な触覚提示が可能であり、かつ開発コストが低いことが求められる。ピンアレイのような高分解能の提示方式は触覚表現の精度を高める一方で、装置のサイズや開発コストの高さなどが課題である。これに対して本研究では、積層セラミックコンデンサが圧電効果により微小に変形することを利用し、これをさらに積層することで、変位を拡大する新たな小型で低コストの振動子を検討する。本報告では予備的検討として、提案する振動子の周波数特性を評価した

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同一の電極アレイを用いた皮膚と筋肉の刺激による触覚と力覚の提示
〇安達 紀考(電気通信大学)、坂本 泰清(電気通信大学)、溝口 泉(電気通信大学)、梶本 裕之(電気通信大学) - VR/AR環境において高い没入感や操作性の向上には触覚・力覚提示技術が重要である. 従来は両者を提示するために異なる電極サイズが必要だった. 本研究では, 同一の電極アレイで触覚と力覚の提示を可能とする手法を提案する. 各電極を駆動するスイッチング IC のハイインピーダンスモードを利用し, 電極間の距離を等価的に調整し, 深部への電気刺激により力覚を, 浅部への電気刺激により触覚を提示することを試みる.

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電気触覚ディスプレイによる凹み感の提示
〇坂本 泰清(電気通信大学)、溝口 泉(電気通信大学)、梶本 裕之(電気通信大学) - 柔らかさ感は物体に接触した際の皮膚感覚を再現することで提示可能であり、例えば電気触覚ディスプレイにより指の押下力に応じて刺激する領域を増大させることで再現できることが知られている。我々はこの柔らかさ感の延長として、物体を押し込んだ際に表面が大きく陥没するように感じる「凹み感」が提示できることを発見した。凹み感はボタンのストロークの表現など、リアルな触感表現に寄与することが期待できる。

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運動に応じた知覚インテンシティの変調による疑似的な粘性感覚の提示
〇五十嵐 大登(東北大学)、髙橋 哲史(東北大学)、昆陽 雅司(東北大学) - 本研究では,任意音源から変換した触覚振動信号に対し,運動速度に応じた強度変調と補助振動を用いて疑似的な粘性感覚を提示する手法を提案した.Meta Quest 3によるVR環境で,5Hz包絡線を持つ補助振動付きの基準刺激に対して粘性感覚と触感劣化度を評価した.結果,粘性感覚の有意な増強は見られなかったが,触感劣化も認められなかった.今後は,粘性感を高めつつ触感劣化の少ない補助振動の設計が課題である.

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2指なぞり時に指腹摩擦差がもたらす開閉錯覚
〇前田 太郎(大阪大学大学院情報科学研究科、脳情報通信融合研究センター)、杉原 尚理(大阪大学大学院情報科学研究科)、原 彰良(大阪大学大学院情報科学研究科、脳情報通信融合研究センター)、古川 正紘(大阪大学大学院情報科学研究科、脳情報通信融合研究センター) - 先の報告では2指でのなぞり動作中に爪側からの振動刺激を振幅変調することで平面上に法線方向への変位錯覚(段差形状)が生じることを示した.本報告では同様に2指間での振動周波数の変調が、接線方向への変位錯覚を生じることを仮説・検証した.指先に異なる摩擦係数を持つ薄膜を装着した被験者に2指での随従なぞりを実施させた結果、指間での振動スペクトラム重心が遷移し,2指間距離が伸長/収縮する開閉錯覚が観察された.

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ピンチング型触覚ディスプレイを用いた粗滑感提示
〇清水 真陽(立命館大学)、黒川 朝陽(立命館大学)、安藤 潤人(立命館大学)、野間 春生(立命館大学) - ヒトは紙や布等の質感を評価する際、複数指でつまみ擦るピンチング動作により、指先間で生じる微細な振動や摩擦を統合的に知覚する。中でも振動刺激は粗滑感の質感評価に重要な役割を果たす。本研究では、ピンチング時に指先が知覚する質感の再現を目指し、動作速度に応じて広帯域の振動を提示可能なピンチング型触覚ディスプレイを開発した。さらに、ピンチング中の振動刺激による粗滑感提示の有効性を考察した。

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指先に水平方向の振動を提示する柔軟なコイル構造触覚ディスプレイの開発
〇黒川 朝陽(立命館大学)、清水 真陽(立命館大学)、安藤 潤人(立命館大学)、野間 春生(立命館大学) - 人は現実において物体に触れる際、指先では多様な周波数成分を含む振動を知覚する。本研究の目的は、このような振動を再現可能な触覚ディスプレイを開発することである。そのために、液体金属を封入したソフトチューブをコイル状にして永久磁石に並列配置し、電磁力により独立して微振動するアクチュエータを開発した。実験では、各周波数における振動変位を計測し、提示可能な振動の帯域および知覚可能性について検討した。

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固着・滑り制御型触覚ディスプレイにおける皮膚吸引による接線力提示手法の検討
〇長谷川 知紀(富山県立大学)、境 侑里(富山県立大学)、上田 潤(富山県立大学)、田川 和義(富山県立大学) - 本研究では,固着-滑り制御型触覚ディスプレイの有効性を実験的に検証するため,簡易プロトタイプを作成し,各真空圧パルス周波数が皮膚の触覚に与える影響を定量的に調査することを目的とする.実験では「摩擦感」と「快適度」を5段階で評価してもらうとともに,500fpsの高速カメラで皮膚の固着・滑り挙動を撮影する実験を行う.本実験を行うことで真空圧パルス制御による触知覚の操作性と高解像度触覚提示への適用可能性が立証されると考えられる.

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A Preliminary Study on Vibralign: Enhancing Yoga Practice Through Haptic Feedback
〇劉 斐然(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、吉田 貴寿(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、脇坂 崇平(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、神山 洋一(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、堀江 新(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、南澤 孝太(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) - 本研究では、触覚と聴覚を組み合わせた多感覚フィードバックにより、ヨガ実践の没入感と身体意識を高めることを目的とする。手首バンド型および床型の触覚提示インタフェース、ノイズキャンセリングヘッドホンを用いたシステムを構築し、11 名の被験者による比較実験を実施した。音声のみのセッションと比べ、触覚を加えたセッションでは、姿勢の認識や集中度が向上したと回答する傾向が見られた。また、振動の流れに方向性を感じたという報告もあり、触覚刺激が身体内部への注意を促す可能性が示唆された。
