Web予稿集

Tuesday, 12 September
9月12日(火)
 

口頭発表 09:10 - 09:50 クロス・マルチモーダル

座長:青山 一真(群馬大学)

1C1-01
一貫しない視触覚情報の呈示による触覚感度変化の検討
〇羽鳥 康裕(東北大学)、石井 圭(産業技術総合研究所)
物体の視覚情報は,その物体を触った際に生じる触覚情報に関する手がかりを提供する.本研究では,視覚情報から予測される触覚刺激とは異なる触覚刺激の呈示が触覚感度に与える影響を検討した.視覚情報に基づいて触覚感度は向上したが,視触覚刺激の一貫性は感度を向上させるとは言えなかった.この結果は,視触覚情報統合における視覚情報の優位性を示唆する.
1C1-02
撫で動作における接触感の視覚フィードバックのための CG 手映像の構成
〇柳田 沖人(宇都宮大学)、森 博志(宇都宮大学)
VRでの物体表面を撫でる動作において,視覚ディスプレイを通してユーザへ接触感を提示するためには,感覚モダリティと矛盾のないCG 映像の提示が必要となる.そこで本稿では,撫で動作を対象に,入力のハンドトラッキング情報を基に連動性を損なうことなく物体面上に継続して接触するように手指の姿勢を補正することで,接触感の視覚フィードバックのためのCG手映像を構成する手法を提案する.
1C1-03
Haptic retargeting で与えられたズレに対する慣れの影響
〇鳥海 青真(成蹊大学)、小方 博之(成蹊大学)、亀谷 恭子(成蹊大学)、安田 晶子(一橋大学)
現実空間の一つのオブジェクトを利用して、VR空間の複数のオブジェクトの触覚フィードバックを与えるhaptic retargetingがある。これは、ユーザに知覚されない範囲でVR空間のオブジェクトの座標を操作することで実現しているが、この状態にユーザが慣れた場合に知覚されない範囲が変化する可能性がある。本研究では操作された映像に慣れる前後での知覚されない範囲を比較し、慣れによる影響を検証した。
1C1-04
VR野球スイング時の接触時間と聴覚刺激の付加が高次感性に及ぼす影響
〇小川 旺(愛知工科大学)、山高 正烈(愛知工科大学)
本研究では,VR野球スイング時のバットとボールの接触時間を操作した場合,打球音となる音刺激の付加が臨場感や迫真性といった高次感性にどのような影響を及ぼすかを検討した.その結果,時間停止という日常的に不自然な現象を体験しながらも,臨場感や迫真性評価が減少しない場合のあることが示された.また,視覚的な停止時間より音刺激の提示時間が長い場合に,迫真性評価が減少し難い傾向が示唆された.
1C1-05
バーチャルハンドの接触における視触覚間の空間的距離・感覚野的距離が身体所有感に及ぼす効果
〇亀岡 嵩幸(筑波大学)、蜂須 拓(筑波大学)
我々はHMDに触覚提示装置を内蔵し、バーチャルハンドの接触に対して顔へ機械刺激を提示することでハンズフリーな触覚を伴うVR体験を提案してきた。本稿ではこのような視触覚での刺激の提示位置の空間的整合性がアバタに対する身体所有感に及ぼす影響を検証するため、バーチャルハンドの接触に対し様々な部位へ振動刺激を提示するシステムの開発と所有感の評価について報告する。
1C1-06
VR環境下における物体の着地衝撃音の音量変更を用いた重量感覚提示手法の提案
〇松本 隼哉(東海大学)、武田 昌樹(株式会社シーエーシー)、永田 裕幸(東海大学)、楊 皓宇(東海大学)、水谷 賢史(東海大学)
先行研究では視覚刺激によるクロスモダリティを認める報告が中心であるため、どのような聴 覚刺激が有効であるかを明らかにする必要がある。また、クロスモーダル現象は複数の感覚刺激 を提示することでより効果的であることが報告されており、有用な聴覚刺激の発見が強力な複 合刺激提示手法の提案につながると考える。そこで本研究では、音量に着目し、聴覚刺激として 用い、VR 環境下における重量感覚提示を行う上で有効な聴覚刺激について検討した。
1C1-07
VRアバターにおける視触覚統合を用いた皮膚変形感覚の誘発
〇原口 岳丸(豊橋技術科学大学大学院 工学研究科 情報・知能工学専攻)、北崎 充晃(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)
伸長する腕やスライムハンド錯覚など物理的な身体ではありえない変形に対し、その変形が実際に自分の身体に生じているかのような錯覚を覚える現象が報告されている。本研究では、HMD (Head Mounted Display) を用いた視触覚刺激提示によって前腕の皮膚が変形した感覚を誘発できるかを調べた。視覚刺激としてバーチャル環境内でアバターの左前腕の皮膚表面が凹む様子を提示し、触覚刺激として被験者の左前腕に振動刺激を与えた。
1C1-08
視触覚提示による床の踏み心地への介入に向けた基礎検討
〇辻田 喜琉(慶應義塾大学)、堀江 新(慶應義塾大学)、神山 洋一(慶應義塾大学)、花光 宣尚(慶應義塾大学)、湯川 光(名古屋工業大学)、田中 由浩(名古屋工業大学、稲盛科学研究機構)、南澤 孝太(慶應義塾大学)
人は日常的に床を踏み生活している.しかし,踏み心地という床に対する印象が感覚モードとしてどのように構成されているかは明らかではない.本研究では踏み心地に対して視覚及び触覚の寄与に着目する.ヘッドマウントディスプレイによる視覚刺激と振動床による触覚刺激の踏み心地に対する影響を調査し,結果を二要因分散分析する.得られた知見に基づいて床の硬さの違いを提示可能なシステムを設計する.
1C1-09
マイクを利用した模擬刀と身体の接触判定システムの提案
〇前田 裕作(電気通信大学大学院)、佐藤 神威(電気通信大学)、櫻井 翔(電気通信大学)、広田 光一(電気通信大学)、野嶋 琢也(電気通信大学)
スポーツにおいて身体運動能力はプレイヤー間の差の要因となる.Augmented Sportsはスポーツとゲーム技術を融合し,身体運動能力によらず楽しめるように拡張したスポーツの形態である.著者らは剣術競技にバーチャルパラメータ(VP)を導入し,身体運動能力をバーチャルに補えるようにした競技Parabladeを提案した.本研究では剣術競技におけるパラメータの付与がユーザの戦術に及ぼす影響を調査するとともに,基礎技術としてマイクを用いた模擬刀の高速接触判定技術の開発を行った.
1C1-10
皮膚上を移動する触覚刺激に伴って変化する視覚情報が触覚認知に及ぼす効果
〇青木 琢朗(東京大学)、牧野 泰才(東京大学)、篠田 裕之(東京大学)
本論文では,皮膚上を移動する触覚刺激に伴って変化する視覚情報が知覚される触感に及ぼす効果について調査する.空中超音波触覚刺激に同期して白い丸の映像を指先から手首まで等速で移動するように提示する.このとき,触覚刺激について3つの条件:途中で消える,途中で弱くなる,変化しない,を用意し,視覚刺激についても同様に以下の3つの条件:なし,途中で消える,変化しない,を提示した.この組み合わせについて,触覚がどのように知覚されたかを被験者実験により評価し,触覚刺激に対する視覚情報の効果について検証する.
1C1-11
アバターの腕の移動速度の変化による疑似触覚の生起を利用した風速知覚の操作
〇鷹觜 慧(東京大学)、伊東 健一(東京大学)、子系 卓(東京大学)、伴 祐樹(東京大学)、割澤 伸一(東京大学)
クロスモーダル効果による風速知覚の操作に関し、従来の研究では実際より強い風速を知覚させる効果は確認されていない。また、疑似触覚を利用した風速知覚の変化に関する研究は少ない。本研究では、アバターの腕の移動速度の操作から生じる疑似触力覚と風から受ける力を組み合わせることで風速知覚が変化するか検証した。その結果、風速が十分大きい場合には風と同方向の疑似触力覚により風速が強く知覚されることが示唆された。
1C1-12
手足に対する合成振動触覚刺激提示による運動物体の速度知覚に関する検討
〇久原 拓巳(名古屋工業大学大学院)、渡邊 淳司(日本電信電話株式会社)、田中 由浩(名古屋工業大学大学院)
本研究は合成振動触覚刺激の提示で得られる知覚現象における運動物体の速度知覚に関する検討を行った.仮現運動のような感覚を提示する際,多チャンネル刺激は複数の身体部位に対して交互に刺激を与えるが,合成振動触覚刺激は複数の身体部位を同時に刺激する.そのため,各刺激によって引き起こされる知覚体験が異なる可能性があり,それを明らかにするために運動速度知覚に着目し実験を行なった.