Web予稿集

Tuesday, 12 September
9月12日(火)
 

口頭発表 09:10 - 09:50 身体性認知1

座長:雨宮 智浩(東京大学)

1B1-01
アバターを介した吃音症状軽減に関する研究
〇大野 凪(大阪芸術大学)、安藤 英由樹(大阪芸術大学)
吃音とは流暢に話すことが出来ない症状である。従来研究ではアバターを用いることによって吃音の軽減効果が得られる傾向が確認されているが、統計的優位が示せなかった。そこで、実験協力者の追加、厳密な検査法の尺度等を用い、さらにZOOM上で、アバターを用いる/用いない場合について比較実験を行なった結果について報告する。
1B1-02
複数のテレプレゼンスロボットを用いた2重身体感覚に関する研究
〇小島 優希也(東京都立大学)、島田 匠悟(東京都立大学)、YEM VIBOL(筑波大学)、岡本 正吾(東京都立大学)、池井 寧(東京大学)
これまでのテレプレゼンスは1つの遠隔空間を体験することを対象としていたが,本研究では,複数のテレプレゼンスロボットを用いて,複数の空間を体験することができるシステムを構築し,2重身体感覚に関する調査を行った.調査結果では,没入空間を選択して体験すると1つの身体が2つの身体に分かれる感覚が強くなり,複数空間をオーバーレイすると2つの遠隔空間が融合する感覚が強くなることがわかった.
1B1-03
身体の数が複数身体の所有感に及ぼす効果
〇近藤 亮太(慶應義塾大学)、杉本 麻樹(慶應義塾大学)
1体,2体,4体のアバタに対する身体所有感を調べた研究では,アバタの数が多いほど,所有感の強さが1体の条件に近づく傾向があった。本研究では,アバタの数を増やすことで,複数アバタに対する所有感が1体と同程度に強くなるか調べた。実験では,参加者の動きに同期して動くアバタを縦一列に提示した。その結果,予想とは反対に,アバタの数が多いほど身体所有感が弱くなる傾向が見られた。
1B1-04
融合身体を用いた運動における上下半身の各動作合成比率が行動戦略に与える影響
〇大原 侑祐(電気通信大学)、後藤 拓海(電気通信大学)、櫻井 翔(電気通信大学)、広田 光一(電気通信大学)、野嶋 琢也(電気通信大学)
複数人の動作データを合成した1体のVR身体(アバタ等)を融合身体と呼ぶ.著者らは,前実験で融合身体を用いた投球運動時の上下半身の各合成比率(融合身体に反映される各ユーザの動作の割合)に基づくユーザの運動制御と身体認知の変化を確認した.加えて,ユーザ間の行動戦略の変化が示唆されたため,本研究では前実験と同様の実験環境を用いた投球運動において合成比率が行動戦略に及ぼす影響を詳細に調査する実験を行った.
1B1-05
アバター変身における外見変容の過程がバーチャル身体化に及ぼす効果
〇村上 太一(豊橋技術科学大学)、北崎 充晃(豊橋技術科学大学)
本研究では、アバターAからアバターBへの変身における外見変容の過程がバーチャル身体化へ与える影響について調べた。外見変容の過程として、一瞬でアバターが変身するCut過程と徐々にアバターが変身していくDissolve過程を提示した。被験者は、変身前後の身体化の強度と変身後の感覚について7段階のリッカート尺度により評価した。さらに、変身後のアバターにおける身体化の強度をSCRにより測定した。
1B1-06
アバタの外見から想起されるイメージと実際の能力の相違がユーザの心理・行動に与える影響
〇永井 良雅(電気通信大学)、櫻井 翔(電気通信大学)、野嶋 琢也(電気通信大学)、広田 光一(電気通信大学)
他者に対する最初と後の印象のギャップが大きいほど,後の印象がより強化される現象(ゲイン・ロス効果)が知られている.本稿では,ゲイン・ロス効果を利用し,プロテウス効果(アバタの外見に基づく印象がユーザの心理や行動に変化を齎す現象)と異なる影響がユーザに生じるかを検証した.実験では,アバタの外見に基づく能力の印象と行動の結果に顕れる能力の間にギャップを起こすことでユーザに生じる心理が変わることを示した.
1B1-07
Pseudo-hapticsを用いたVR空間での商品の価値評価向上に関する研究
〇大倉 直也(東京大学)、小柳 陽光(東京大学)、雨宮 智浩(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)、葛岡 英明(東京大学)
近年,オンラインショッピングにVR技術を導入することで,顧客によりリアルな体験をしてもらい,購買意欲を上げようとする事例が増えている.一方,現実世界において,商品の重さ知覚と製品評価の関係に関する研究結果をマーケティングに活用する試みはあるが,VR空間での検証はほとんど報告されていない.そこで,本研究では,VR空間でPsuedo-hapticsにより生じる重さ知覚が製品の希少性評価及び購買意欲に及ぼす影響について調査した.その結果,個人差や製品差は見られたものの,全体的な傾向として,ユーザが知覚する重さ知覚が重いときは,軽いときと比べて製品の希少性評価が有意に高くなることが示唆された.
1B1-08
バーチャル環境において隣接した2人のアバタによるwe-mode生起の調査
〇李 暁彤(東京大学)、畑田 裕二(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)
他者との共同行為への貢献を「私たち」のものであると表象する認知モードはwe-modeと呼ばれる。バーチャル空間ではアバタを介して他者を知覚するため、we-modeが形成される条件が実空間と異なる可能性がある。本研究では、異なる実空間にいる2者がバーチャル空間において隣り合わせに存在するアバタを使う際にwe-modeが生起するかを調べることで、バーチャル空間と実世界でのwe-mode生起条件の共通点・相違点を調査する。
1B1-09
自己運動観察の有無による身体感覚の変化に関する研究
〇松田 勇祐(公立諏訪東京理科大学)、近松 恭丞(公立諏訪東京理科大学)、平田 幸広(公立諏訪東京理科大学)
VR体験において,VRアバターの外見や動きの違いがユーザの身体感覚を変化させることが知られている.つまり,VRアバターの設計は,よりクオリティの高いVR体験を提供する上で非常に重要である.しかしながら,VRアバターとその周りの環境との相互作用が身体感覚に与える影響を調べた研究は少ない.本研究では,VRアバターとユーザの後ろ姿を同時に提示し,ユーザの身体所有感などへの影響を調べた.
1B1-10
Texture Swapping: 皮膚質感の上書きによる自己身体認知の変容
〇松原 雅敏(慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科)、脇坂 崇平(慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科)、南澤 孝太(慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科)
我々は自分の肌の質感が風船や毛皮、葉などの異なる質感に変化しているように感じられる「Texture Swapping」という錯覚を発見した。本研究ではこの錯覚を手軽に、そして非現実的な質感にも対応するため、ディスプレイ型の装置を開発した。この装置を使用することで、3Dモデルに対応したアバターの手の質感を体感することができる。これにより、自身の身体性の変異を感じるトリガーとして機能させる。
1B1-11
自己と他者アバタの外見的差異がプロテウス効果に与える影響
〇Hu Yong Hao(東京大学、東京大学葛岡鳴海研究室)、畑田 裕二(東京大学、東京大学大学院情報学環)、鳴海 拓志(東京大学、東京大学葛岡鳴海研究室)
アバタの外見がユーザの行動を影響する「プロテウス効果」に関する研究は、参加者自身のアバタを変数として操作することに焦点を当てている。しかし実社会では、他者と比較することで自己認識が深まる場面が数多く存在する。本研究では、参加者と他者が法被かスーツのアバタを使用して太鼓演奏を共に行う実験を通じ、自己アバタの外見を他者と比較して自己の特異性に対する認識を深めることが行動変容に与える影響を検証した。