Web要旨

Thursday, 17 September
2020/9/17(木)
 

一般発表 9:00-10:20 身体感覚

座長:加藤 史洋(東京大学)

2C1-1
リダイレクテッドウォーキングにおける日本人の並進・回転移動の知覚特性
〇伊藤 泰輝(成蹊大学)、小方 博之(成蹊大学)、安田晶子(一橋大学)
狭い実空間を歩行するユーザが広大な仮想空間を歩行していると錯覚させるリダイレクテッドウォーキングにおける人間の知覚特性について調査した。先行研究では、西洋人を対象に実験し知覚されないゲインの閾値を導出した。本研究では未検証の日本人の場合について調査を行った。結果、ゲインの閾値は大きく狭まり、人種による特性の違いがあることが示唆された。今後は歩幅や歩行速度について加味した調査も行いたい。
2C1-2
連続的な曲率変化下でのリダイレクテッドウォーキング
〇迫野 弘明(東京大学 大学院情報理工学系研究科)、松本 啓吾(東京大学 大学院情報理工学系研究科)、鳴海 拓志(東京大学 大学院情報理工学系研究科)、葛岡 英明(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
限られた実空間で広大なVR空間の歩行を可能にするリダイレクテッドウォーキングにおいて、空間圧縮率向上のためにより大きな操作量を適用する必要があるが、同時にユーザの違和感の増大につながる。本研究では操作量を連続的に増加させて違和感を低減することで従来より大きな操作量を適用可能にすることを試みる。予備実験としてユーザの歩行経路の半径を連続的に操作し、その変化率によりユーザの違和感が変化するか検証した。
2C1-3
旋回歩行感覚生成のための前庭刺激の提示手法
〇海野 みのり(東京都立大学大学院)、清水 広一(元首都大学東京大学院)、雨宮 智浩(東京大学大学院)、北崎 充晃(豊橋技術科学大学大学院)、YEM VIBOL(東京都立大学大学院)、池井 寧(東京大学大学院)
本研究では,身体のヨー回転を含む4自由度の前庭感覚ディスプレイ(可動座席)によって,歩行VR時の旋回歩行感覚の再現を目的とする.直線歩行感覚に加え,旋回歩行感覚の生成を行うための刺激提示手法として,ヨー回転運動と左右のロール運動を非対称とする運動(非対称ロール運動)の効果を調査した.調整法により求めた刺激量を提示し,左旋回歩行時の旋回歩行感覚の評価を行った.その結果,ヨー回転運動の刺激を加えることで,旋回歩行感覚を生成し得ることが示唆された.
2C1-4
視覚運動対応を操作したVR空間内での身体運動課題がもたらす身体近傍空間のリマッピング
〇松田 勇祐(豊橋技術科学大学)、杉本 麻樹(慶應義塾大学)、稲見 昌彦(東京大学)、北崎 充晃(豊橋技術科学大学)
VR空間内での視覚的回転と頭部回転との対応関係を変化させて学習したとき,人の知覚がどう変わるかを調べた.異なる対応関係で,身体の後ろに提示される対象にリーチングする学習を行い,その前後で身体近傍空間(PPS)を測定した.その結果,対応関係に関わらず前方PPSの収縮が観測されたが,その度合いは異なった.これらの結果は,運動がPPSを変化させ,視覚と運動の対応関係は補助的な役割を担うことを示唆する.
2C1-5
Motion-Less VRの研究:頭部の設計とVR酔いに関する事前検討
〇中井 凜太郎(法政大学)、望月 典樹(法政大学)、中村 壮亮(法政大学)
リアル身体での運動を必要としない身体没入型VRシステム「Motion-Less VR」では,身体固定状態での関節発揮トルクからバーチャル身体の運動が実現される.このとき感覚矛盾によりVR酔いの発生が懸念されるが,平常時と同様の身体制御を入力とした際のVR酔いを検証した研究は見当たらない.そこで本研究では,頭部運動におけるMotion-Less VRの設計とVR酔いに関する予備的な検討を行う.
2C1-6
搭乗感覚共有システムにおけるVR酔いの低減手法に関する研究
〇森田 翼(東京都立大学大学院)、梨木 玲穏(首都大学東京大学院)、ヤェム ヴィボル(東京都立大学大学院)、雨宮 智浩(東京大学大学院)、池井 寧(東京大学大学院)
これまで搭乗感覚共有システムを開発したが,本稿では改良型として前庭感覚提示用の電動回転椅子を電動車椅子に変更した構成を提案する.開発した電動車椅子は,従来の電動回転椅子が1自由度であったのに対して,2自由度の前庭感覚刺激提示が可能である.この車椅子を使用してフィードバックのための予備実験を実施した.結果,参加者は並進方向の加速度を直進移動映像に対して60%に調整し,VR酔いが54%抑制された.
2C1-7
VR酔いの発生を遅延させる振動の効果についての実験的検討
〇齋藤 真里(ソニー株式会社 R&Dセンター)、原田 竜彦(国際医療福祉大学熱海病院耳鼻咽喉科、国際医療福祉大学医学部)、前田 佑輔(国際医療福祉大学小田原保健医療学部理学療法学科)
振動刺激によるVR酔い低減効果を検証した。ジェットコースターの映像視聴中に、座面と後頭部に対して周期的な振動を与え、SSQと周回ごとの酔いの主観評価を振動なし条件と比較した。SSQでは差が見られなかったものの、酔わない状態での周回数は、後頭部に振動を与えた条件の方がその他の条件より有意に多かった。映像と連動しない振動であっても、後頭部への振動であれば、酔いの発生を遅らせる効果があることが示された。
2C1-8
複合現実感システムにおける深層学習を用いた不快感推定の試み
〇伴地 芳啓(早稲田大学)、河合 隆史(早稲田大学)
複合現実感(MR)システムでは、ユーザの不快感の生起が報告されている。しかし、その要因を特定・解決することは困難なため、不快感が生起するタイミングで休憩などを促す予防策が期待される。本研究では、MRシステム使用中の生理・心理指標を測定・解析し、深層学習を用いた不快感の推定手法について予備的な検討を行なった。結果から、目的変数である心理指標と説明変数である生理指標に、一定の対応を認めることができた。