Web要旨

Thursday, 17 September
2020/9/17(木)
 

一般発表 10:30-11:50 アバタコミュニケーション

座長:野嶋 琢也(電気通信大学)

2A2-1
自己顔表情同期アバタによる心理的影響の調査
〇倉橋 鉄平(東京大学)、小川 奈美(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)、葛岡 英明(東京大学)
HMDによるVR体験において、本人をスキャンした全身アバターを用いることで身体所有感や行為主体感が向上することが知られている。また、頭部と表情の動きを同期することでディスプレイに表示された顔に対して身体所有感を生起できることも分かっている。本研究では、本人の顔あるいは平均顔から作成した顔のCGで表情同期を伴うタスクを行い、両者を比較することで自己顔のアバターが認知・行動に与える影響を調査する。
2A2-2
筋肉質アバタを用いたプロテウス効果が重さ知覚に与える影響
〇角田 賢太朗(東京大学)、小川 奈美(東京大学、DMM VR lab)、鳴海 拓志(東京大学)、廣瀬 通孝(東京大学)
アバタの外見はユーザの振る舞いに影響を与えることが知られており,プロテウス効果と呼ばれる.プロテウス効果の事例は,振る舞いのみならず心的傾向の変化に関しても様々に報告されているが,知覚に関する研究は少ない.そこで本研究では,アバタの見た目の筋肉量を操作し,ユーザの重さ知覚が変化するか検討した.その結果,筋肉量が多いアバタを使用したユーザは,物体の重さを実際より軽く知覚することが明らかになった.
2A2-3
客体化された自己としてアバタの外見がアバタへの自他判断と行動評価に与える影響
〇櫻井 翔(電気通信大学)、帆山 遼(電気通信大学)、野嶋 琢也(電気通信大学)、広田 光一(電気通信大学)
映像記録等により客観的観察が可能な(客体化された)自己の行動の評価を通じて行動改善を図る自己モデリングでは,自己を直視する恥ずかしさや自己概念の影響から,正しい評価が行なえない恐れがある.本稿では,プレゼンテーションを対象に,ユーザの過去の動作データを付加したアバタの外見操作に基づくアバタへの自他判断や行動評価に生じる影響の検証を通じ,アバタを利用した自己モデリング効率向上が可能かを考察する.
2A2-4
怪獣アバタを用いたバーチャル破壊体験による非主張性軽減手法の検討
〇櫻井 翔(電気通信大学)、武井 友里恵(電気通信大学)、野嶋 琢也(電気通信大学)、広田 光一(電気通信大学)
本稿では,プロテウス効果に基づき,対人ストレスを緩和しつつ非主張性(自己の意見や望む行動を主張・表現することに消極的という性質)やその心理的要因を軽減する手法として,非主張性とは逆の性質を持つイメージを持つ怪獣の姿に変身して街を破壊するバーチャル体験を設計した.また,本体験を可能にするシステムを構築した上で,本提案手法が非主張性に与える影響と,その影響の継続性について,基礎的な効果を検証した.
2A2-5
対戦型格闘ゲームにおけるフェティシズムの偏在性
〇平井 和佳奈(東京進学セミナー)
本研究は、対戦型格闘ゲームの過激な描写の許容範囲を探るものである。
近年e-sportsの活性化もあり、対戦型格闘ゲームが広く受容されている。
e-sports公式タイトル化に伴い、キャラクターの描写のされ方も議論されている。
中でも「肌の露出」や「グロテスクさ」の表現はタイトルにより異なるが、プレイされる国や地域ごとに許容範囲の偏りが見られる。好まれやすい描写の差異やその背景を明らかにする事は、今後のe-sportsシーンに貢献するものと思われる。
2A2-6
人と異なる骨格・姿勢のアバタへの身体所有感生起に関する研究
〇本多 誼海(大阪工業大学)、中泉 文孝(大阪工業大学)、大須賀 美恵子(大阪工業大学)
近年,VRゲームなどでHMDを用いたアバタ体験を手軽に行うことができるようになった.またその際に用いられるアバタは人間型だけに留まらず,鳥のような人と異なる骨格や姿勢のアバタも用いられる.先行研究ではそれらの非人間型アバタを用いた際にも人型アバタと同等の身体所有感が生起することが報告されている.本研究ではサメ型アバタを用いた実験を行い,人と骨格や姿勢が異なるアバタにおける身体所有感の生じ方について調べた.
2A2-7
バーチャルアバタの視点取得促進効果における頭部と胴体の比較
〇長町 和弥(豊橋技術科学大学)、上田 祥代(豊橋技術科学大学)、北崎 充晃(豊橋技術科学大学)
我々は自分の視点を移動・回転させることで,その地点での視覚的経験を推測するができる(視覚的視点取得:VPT).このVPTは,人型アバタが基点として空間に存在することで,その視点を利用し,パフォーマンスが向上することがわかっている.しかし,その促進効果がアバタの一部の部位のみでも生じるのかは明らかになっていない.そこで本研究では,アバタの頭部と胴体の向きを制御した実験により,身体部位ごとの促進効果を検討した.
2A2-8
タスクごとのアバタ切り替えがマルチタスクのパフォーマンスに及ぼす影響
〇畑田 裕二(東京大学)、鳴海 拓志(東京大学)
複数のタスクを同時並行的に処理するマルチタスクでは,タスク切り替えに認知負荷を要するため,各タスクを個別に行うよりパフォーマンスが下がる.本研究では,アバタによる自己知覚の更新が人の思考様式を変容させる効果に着目し,タスク間でアバタを切り替えることが,マルチタスクのパフォーマンスに与える影響を調査するためのシステムを構築し,アバタ切り替えがタスクに応じて適切な記憶や思考様式の発現を促す可能性について考察する.