Sept. 13 2024
9月13日
口頭発表 10:10-10:50 嗅覚・味覚・聴覚
座長:谷川 智洋(東京大)
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咀嚼・嚥下中の視聴覚ノイズの遮断による風味と食感の向上
〇日塔 諒太(東京大学)、小宮 晨一(東京大学)、伴 祐樹(東京大学)、割澤 伸一(東京大学) - 食品が持つ繊細な風味や食感を高めるため,口腔内の感覚に集中し視聴覚ノイズを遮断することがある.本研究では,食品を口内に入れた瞬間に視聴覚ノイズを遮断し,嚥下が終了した瞬間に視聴覚ノイズを復元させることで,集中的注意が促進され風味や食感が向上すると考え,検証を行った. 予備検証の結果,提案手法の有用性が示唆された.
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タバスコ同等の辛味増強感を実現する舌部電気刺激手法の評価
〇大野 雅貴(東京大学)、青山 一真(東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター)、鳴海 拓志(東京大学) - 舌部電気刺激手法はユーザの辛味知覚を増強可能であり,過剰な辛味物質摂取を避けながら食事に辛さを添加できるインタフェースの基盤技術として期待されている.本研究では,電気刺激による辛味増強効果が実際にどの程度の辛味物質の添加に相当するのか検証した.参加者に対して異なる濃度のタバスコ溶液と舌部電気刺激を呈示した際の辛味・塩味・酸味の各モダリティの知覚強度を評価する実験を行った.その結果,タバスコ溶液に対して1.0 mAまたは2.0 mAの陽極舌部電気刺激を呈示した場合,電気刺激なし条件と比較して参加者の辛味と酸味の知覚強度に有意差は見られず,塩味に対してのみ増強効果が示唆された.
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20成分調合型嗅覚ディスプレイの改善
〇田辺 寛起(東京工業大学)、恩田 陽介(太陽誘電株式会社)、プラセティアワン ダニー(東京工業大学)、中本 高道(東京工業大学) - 嗅覚ディスプレイとは人に匂いを提示する装置である.本研究は,従来は本体以外にファンクションジェネレータとRFアンプの2つの外部装置が必要であったが,RFアンプ回路の設計とFPGAの設計変更を行うことで,小型化することに成功した.RFアンプは駆動時に熱を持つため,ヒートシンクを付けることで放熱する.駆動時のヒートシンクの温度を測定し,最適なヒートシンクのサイズを選定した.
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筋電信号を用いた振動刺激の提示による食体験の影響の調査
〇伊福 稔貴(熊本大学大学院)、嵯峨 智(熊本大学大学院) - 食品を咀嚼した際に、振動刺激や咀嚼音を編集したものを提示する研究は行われてきているが、独立して提示している研究が多く、両方を同時に提示している研究は少ない。そこで本研究では、筋電を用いた振動刺激や咀嚼音を編集した変調咀嚼音を提示した場合における風味や満腹感に影響を与えることができるか調査を行った。その結果を報告する。
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高齢者向け嗅覚VRゲームのための匂い選定
〇角南 遼太(東京工業大学 工学院)、中本 高道(東京工業大学 科学技術創成研究院)、コーヘン ネイサン(ロンドン芸術大学) - 匂いは、名義を示す言語情報と非言語の感覚情報でその種類が知覚される。嗅覚VRで提示される匂いの言語情報は他モダリティから得られる情報であり、嗅覚が単一のモダリティとして機能するためには非言語の感覚情報のみで匂いの種類が弁別されることが必要である。本論文では、高齢者向け嗅覚VRゲームで利用するための、感覚情報のみで互いに弁別可能な匂いの選定手法を示す。その後、実際に3種類の匂いの選定を行う。
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嗅覚VRにおける実時間数値流体計算の有用性
〇宇田 匡郁史(東京工業大学)、中本 高道(東京工業大学) - 近年、仮想空間における嗅覚の重要性は高まっている。現実に近い嗅覚体験を実現することで、火災などの匂い情報の価値が高い状況における訓練などの応用が期待される。我々は実時間流体計算を用いて、嗅覚体験の質の向上を研究してきた。本研究では、仮想空間の匂い探知における実時間数値流体計算の有用性を検討した。実験の結果、仮想空間内の匂い源探知の際、実時間数値流体計算により匂い方向感が増すことが分かった。
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経皮的電気刺激を用いたニオイ強度変調手法の提案
〇前田 叡一(大阪大学大学院情報科学研究科)、原 彰良(大阪大学大学院情報科学研究科)、宮本 拓(大阪大学大学院情報科学研究科)、古川 正紘(大阪大学)、前田 太郎(大阪大学) - 我々は鼻付近への経皮的な電気刺激によって,ヒトがにおい物質を吸引した際に感じるニオイ強度の印象を変調させられることを発見し,酢酸やアンモニアなどの電解性を持つ物質において当該現象を確認したが,エタノールなどの非電解質では確認できなかった.この結果から,カソード味覚電気刺激と同相の現象であると考えられる.本報告ではこの現象を用いて,ニオイの知覚における即時的な変調を可能にする電気刺激手法を開発した.この手法は,従来の嗅覚ディスプレイの弱点であるニオイの即時的な除去が困難であるという課題の解決をもたらすものと期待される.
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香り体験を言葉に接地させた単語学習法の検討
〇本田 祐大(九州大学)、谷澤 健太(九州大学)、正井 克俊(九州大学)、中村 優吾(九州大学)、崔 赫秦(九州大学)、福嶋 政期(九州大学) - 語彙学習において、単語(記号)をその単語に関連する経験に紐付ける(接地する)記号接地という手法が注目を集めている。香りは感情と共に多様な感覚を想起させるため、強力な記号接地の効果が期待できる。そこで本研究は香りを学習のターゲット語彙に接地させることを目指す。具体的には画像生成AIを用いて、単語の頭文字を埋め込んだ香りのイメージを作成し、画像と香りの空間を経由して単語にイメージを接地させる手法を提案する。
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クラスタ型デジタル空気砲における柔軟素材による偏向ノズルの構築と安定化
〇森田 尚樹(名城大学)、安藤 潤人(立命館大学)、野間 春生(立命館大学)、柳田 康幸(名城大学) - 香りの時空間的な局所提示を行う手段として,クラスタ型デジタル空気砲 (CDA) の研究開発を行っている.従来,渦輪の射出方向を制御するにはCDAの射出ヘッド全体を回転させる必要があったが,ノズルを柔軟な素材で製作し変形可能な偏向ノズルにより,CDA全体を回転させることなく小さな機械的変形で方向制御が可能になった.製作した偏向ノズルの改善を行い,制御範囲の向上と安定化を検討した.
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VRコンテンツにおける人声の放射点を考慮したレンダリング法の効果
〇杉本 岳大(日本放送協会)、木下 光太郎(日本放送協会)、中山 靖茂(日本放送協会) - 人声のレンダリングにおいて、声道の開口端補正および頭部回折を考慮する効果を検証する目的で、VRコンテンツによる主観評価実験をおこなったところ、静止したアバター・歩行するアバター共に、従来法よりも再生音のもっともらしさが向上することを明らかにした。
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ヘッドフォン聴取時のAmbisonics録音方式を用いた複数音源の最適再生方法の検討
〇岡田 拓真(愛知工科大学)、山高 正烈(愛知工科大学) - 我々は先行研究において,Ambisonics録音方式によって収録した単一音刺激を再生する際の最適な再生方法の検討を行った.しかし,現実世界は複数の音からなる音空間であり,複数音源の最適再生方法について明らかにする必要がある.そこで本研究では,ヘッドフォン聴取環境を想定し,複数音源を再生する際の最適な音空間再生方法について,高次感性評価と音像定位の二つを軸に評価・検討を行った.
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オフィス空間内の複数の作業空間の音響的な重ね合わせ方の検討
〇沈 家宜(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、辻田 喜琉(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、吉田 貴寿(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)、南澤 孝太(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) - オフィス空間においては、メンバー同士の会話が重要である。しかし、物理的に離れた人に話しかけることは心理的コストが高く、会話が減ってしまう問題がある。そこで、本研究では物理的に離れた空間を情報的に重ね合わせるアプローチにより、二つの作業空間を音響的に接続するシステムを開発する。開発したシステムを用いて、コミュニケーションコストを下げることを目指す。