Web予稿集

Sept. 11 2024
9月11日

口頭発表 09:30-10:10 医療・脳

座長:田辺 健(産総研)

1C1-01
下腿部への微弱振動印加が足関節位置覚に与える影響
〇羽原 将貴(筑波大学)、橋本 悠希(筑波大学)
高齢者の転倒要因にバランス能力の低下が挙げられる.歩行時のバランス制御には足関節位置覚が影響する.体性感覚系では機械受容器に閾値以下の微弱振動を印加することで感度を向上できる. 本研究では,転倒の危険因子である関節位置覚の向上を目的とし下腿部に微弱振動を提示することで足関節の調節能力を向上させる手法を提案する.本稿では,下腿部への微弱振動印加による位置覚への影響を検証し,その結果を報告する.
1C1-02
2電極の脳波による集中とリラックスの最小判定可能時間の分析
〇兒嶋 達矢(東京工科大学大学院)、高橋 秀智(東京工科大学大学院)
近年、脳波インターフェースについて研究が進められている。本研究では2状態の脳波のパターンによる複数操作を行える、実用化が容易なシステム構築を目的として、そのために電極数の少ない汎用的な脳波計による、集中とリラックスの最小判定可能時間の調査を行った。集中とリラックスは脳波解析の最も基本的なものであることから、それらを用いて行った。実験では集中時とリラックス時の脳波を継続時間別で測定し、解析を行った。
1C1-03
集団加算平均解析による耳周辺SSVEPの分類
〇伊藤 月雲(富山県立大学大学院 工学研究科)、崔 高超(富山県立大学 情報工学部)、唐山 英明(富山県立大学大学院 工学研究科)
定常状態視覚誘発電位(SSVEP)は一般に訓練なしで観測できるため、ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)の研究で広く利用されている。近年、耳周辺からの脳波計測が注目されているが、耳周辺はSSVEPが強く現れる後頭部から離れているため、検出能が低下すると考えられる。本研究では、SSVEPの検出能を高めるため、集団加算平均解析を行い、機械学習による分類精度で優れた結果を得た。本手法は協力型BCIで有用であると考えられる。
1C1-04
VR技術を利用した社交不安症の客観的診断・評価方法の開発
〇小畑 洋平(順天堂大学医学部精神医学講座)、伊藤 賢伸(順天堂大学医学部精神医学講座)、久保山 正浩(順天堂大学大学院医学研究科メディカル・メタバース共同研究講座、日本アイ・ビー・エム株式会社)、王 元(順天堂大学大学院医学研究科メディカル・メタバース共同研究講座、日本アイ・ビー・エム株式会社)、藤林 和俊(順天堂大学医学部革新的医療技術開発研究センター)、戸田 愛子(順天堂大学医学部精神医学講座)、廣政 朋子(順天堂大学医学部革新的医療技術開発研究センター)、遠藤 裕史(順天堂大学医学部革新的医療技術開発研究センター)、平 大樹(順天堂大学医学部精神医学講座)、小林 智久(順天堂大学大学院医学研究科メディカル・メタバース共同研究講座、日本アイ・ビー・エム株式会社)、太田 進(順天堂大学大学院医学研究科メディカル・メタバース共同研究講座、日本アイ・ビー・エム株式会社)、加藤 忠史(順天堂大学医学部精神医学講座)
社交不安症は、うつ病やアルコール依存症を合併しやすく、重大な社会的支障をきたすにもかかわらず、適切に診断される機会が少ない。診断のためには、社交場面における著しい不安反応を確認する必要があるが、医療面接という特殊な状況下の問診のみでは評価に限界があり、日常の社交場面における生理学的測定を用いた客観的診断方法を確立することが望ましい。本研究では、社交不安症患者にVRによる社会ストレス負荷を行い、眼球運動、発声、心拍数、唾液コルチゾールなどの反応を測定して、健常群と比較する。本研究の成果は、社交不安症の客観的診断を可能にし、未治療の潜在的社交不安症患者群の治療機会拡大への道を切り開く。
1C1-05
五十肩の遠隔VRリハビリテーションにおける異種互恵ケアの効果
〇太田 貴士(東京大学大学院)、中村 拓人(東京大学大学院)、葛岡 英明(東京大学大学院)
五十肩の遠隔VRリハビリテーション(リハビリ)において,他者と一緒に同じリハビリを行う「同種互恵ケア」がリハビリの継続を促すことが確認されている.しかし,リハビリ現場において同一のリハビリプログラムを実施する他者が常に存在するとは限らない.本研究では,互恵ケアの応用の幅を広げるために,異なるリハビリ動作を行う他者と一緒にリハビリを行う「異種互恵ケア」を提案し,40歳以上の実験参加者24名を対象に異種互恵ケアの有効性を検証した.
1C1-06
空間拡張による可動床でのVR義足歩行トレーニング
〇中川 康太(広島大学大学院 先進理工系科学研究科)、栗田 雄一(広島大学大学院 先進理工系科学研究科)、前田 慶明(広島大学大学院 医系科学研究科)、田城 翼(広島大学大学院 医系科学研究科)、有馬 知志(広島大学大学院 医系科学研究科)、田村 佑樹(広島大学大学院 医系科学研究科)、長尾 拓海(広島大学大学院 医系科学研究科)
義足装着者にとって危険な環境として「動く歩道」が挙げられる。これは義足装着者にとって,動く床の外的なスピードに合わせて、着地することが困難なためである。一方で実機を用いた訓練は転倒リスクも大きく危険である。そこで我々は、VRを用いた屋外環境のトレーニングシステムが有用であると考えた。本研究では義足のVRシステムの構築を目的とし、模擬義足を用いた健常者実験を通して、本手法の有効性を確認する。
1C1-07
医療的ケア児のストレス軽減効果と社会的交流を促すリアルタイム2面投影の展開
〇荻原 弘幸(群馬大学)、岡田 恵里佳(群馬大学)、奥 寛雅(群馬大学)
医療的ケア児とその家族は,日常生活に様々なストレスを抱え,社会的交流が少ない現状にある.本研究は,映像投影に基づく没入感の高い演出で医療的ケア児のストレスを軽減させるツール開発と社会的交流を促すためのコミュニティ支援ツールの実装を目的とする.今回,医療的ケア児を対象に,KOKOROスケールを用いたリアルタイム2面投影の視聴前後でストレス軽減効果を比較検証し,定性的評価から得られた結果を報告する.
1C1-08
Updated Bibliometric Analysis on the Virtual Reality Usage in the Cardiovascular Research in 2023
〇宮部 亮(愛媛大学医学部循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座、国立病院機構 愛媛医療センター)、檜垣 彰典(愛媛大学医学部循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座)、山口 修(愛媛大学医学部循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座)
心血管病領域におけるVRの使用方法は,医療従事者(医師など)がVRデバイスを使用するTypeAと,患者がVRデバイスを使用するTypeBの2者に分類される.この定義を用いて我々は2023年に出版された医学論文を分類し,その特徴を解析した.条件を満たした全43報のうちTypeAは27報(62.7%),TypeBは14報(32.5%)で,いずれにも分類不能な文献が2報(4.7%)であった.さらに文献の要旨に対してキーフレーズ抽出を行ったところTypeAではtrainning,planning,TypeBではanxiety,educationなどのフレーズが抽出された.
1C1-09
臓器の剥離操作練習のための紐状弾性体と柔軟シートによる触力覚提示
〇和田 佳久(筑波大学)、伊藤 香(帝京大学医学部外科学講座)、矢野 博明(筑波大学)
 腹部外傷外科における開腹手術では,腸管や周辺組織の層を剥離し,目標とする臓器や血管を露出させる。このとき,医師は視覚情報がほとんどない状況で手指から得られる触力覚情報を頼りに剥離操作を行うが,適切な剥離箇所に入った場合は抵抗が少ない一方で,誤った剥離箇所に入った場合は尿管などに干渉して手応えが変化する。本稿では,紐状弾性体と柔軟シートを組み合わせ,誤った剥離箇所に入った場合に干渉に気付いて立ち戻る練習を行うためのシステムのプロトタイプについて報告する。
1C1-10
V-CARE:日常生活行動を基にしたVR認知リハビリテーションシステムの検討
〇神田 直輝(大阪工業大学)、岩崎 寛太(大阪工業大学)、遠藤 飛鳥(大阪工業大学)、大井 翔(大阪工業大学)
高次脳機能障害へのリハビリテーションでは,トランプなどを使った机上作業訓練や反復訓練などが存在する.しかし,それらの多くは日常生活行動に伴わないため,評価結果と実生活において差異が生じる.我々はこれまでに,VR空間内で生活行動に基づいた認知リハビリテーションシステムを開発している.本研究では,これまでのシステムに加えて注意機能の訓練を目的に調理に着目したシステムを開発し,検証を行った.
1C1-11
皮膚科における視診・触診の再現のための3自由度ロボットフィンガーの提案
〇今 美咲(早稲田大学)、加藤 史洋(早稲田大学)、竹田 隼(早稲田大学)
著者らは視触診を遠隔診療で実現するためのロボットハンドの開発をめざし,触診における医師の動きを再現するロボットフィンガー提案する.本ロボットは3自由度で構成され,IP関節をワイヤー駆動で制御する.視診と触診が同時に可能とするよう小型カメラを指先に組み込み,画像と触覚情報を同時に取得可能とする.本論文では、接触部の画像と接触力を取得可能となったので報告する.
1C1-12
単一深度カメラを用いた下顎軌道計測システムの提案
〇賈 志豪(電気通信大学)、櫻井 翔(電気通信大学)、広田 光一(電気通信大学)、野嶋 琢也(電気通信大学)
口腔機能異常の早期発見のための手法の一つに,咀嚼中の下顎軌道の評価がある.咀嚼時の下顎軌道の形状を評価することで,口腔機能の異常の有無を簡易的に判断するものである.しかし,この方法では通常,マーカや計測装置を患者の体に取り付ける必要があり,患者,医療者双方に負担が大きい.そこで本研究では,単一の深度カメラのみによる,低負担での下顎運動計測システムを構築する.試作システムの簡易評価では,およそ1.1mm程度の誤差で下顎軌道を計測可能であることを確認した.