題目
仮想環境内の音源オブジェクトがバーチャルリアリティ酔に与える効果 (Effects of sound source objects on cyber sickness)
概要
3D映像に効果音を付加することによるバーチャルリアリティ酔いへの影響を調べた。視覚障害や内耳障害のない健康な男女33人を被験者とし、総試行数2688回の実験を行った。点音源となる時計、電話、やかん、鳥を、室内を模擬した仮想空間内に配置した。点音源や音楽、環境音(セミの音)など6種類を効果音として加えた場合と、無音の場合の計7種類の音響条件下で、ロールやヨー回転をしながら室内を動き回る3D映像(120°W×48°H)を被験者に視聴させた。40秒間の刺激で感じる「不快感」、「没入感」、「自己運動感覚」を11段階の序数尺度で評価させた。映像と音の動きを一致させた場合に不快感は低く、没入感と自己運動感覚は高くなった。無音の場合に不快感が最も高く、没入感と自己運動感覚は最も低い結果となった。一方、音楽を付加した場合は、没入感と自己運動感覚はあまり高くないものの、不快感は最も低い結果となった。これらの結果から、点音源を配置して映像と音の動きを同時に与えると酔いを軽減できること、更に音楽を付加すると臨場感はやや低下するものの不快感を抑制するのに効果的であることが示された。