題目
異なる周波数の振動を用いた知覚周波数の合成 (Frequency synthesis in touch)
概要
モノに触れた際に指先に生じる振動の周波数は,そのモノの表面テクスチャや硬さなど多くの情報を含んでいる.振動情報を皮膚から脳へ伝達する機械受容器-神経系(チャネル)は主に,数十Hz帯に感度が高いRAチャネルと,数百Hz帯に感度が高いPCチャネルの2系統に分けられる.これまで,知覚される振動周波数は各チャネルの神経活動パタンをもとにチャネル毎に記述されていると考えられてきたが,本研究では2つのチャネルの関係性によっても振動周波数が記述され得るか検討した.RAチャネルで主に検出される低周波振動と,PCチャネルで主に検出される高周波振動を,2本の指先にそれぞれ同時に加えたところ,被験者は加えた2振動の中間に相当する周波数帯を知覚し,またその周波数は加える低周波振動と高周波振動の強度比を変えることでシフトした.この結果は,知覚される周波数がRA・PCチャネルの出力比によっても記述される可能性を示唆するものである.
著者
黒木 忍 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所) , 渡邊 淳司 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所) , 西田 眞也 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所)