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特別講演

特別講演情報

特別講演1:「文化を遺す意義と努力 ー尾張徳川家を例にとってー、VR技術への期待」
徳川義崇(Yoshitaka Tokugawa)
(財)徳川美術館館長(尾張徳川家22代当主)

概要

歴史文化財の保存の代表事例として、尾張徳川家伝来の収蔵品の散逸防止の努力についてお話しする。 全国の大名家の収蔵品が廃藩後散逸、焼失していることを憂いた徳川義親は戦前、尾張徳川家に残されている道具類、絵画、陶磁器、太刀、絵巻物等の重要文化財を所有地に徳川美術館を建てて保管・展示し、古文書類はその隣に蓬左文庫を建てて保管し、後に名古屋市に移管された。重要な文化財の保存にとって意義がある対応であった。また、個々の重要文化財の劣化を防止し、維持するための文化財の保存の努力について紹介する。 さらに、IT技術の研究にも携わった経験を踏まえ、伝統文化の保存に関し、バーチャルリアリティ技術を中心に、今後のIT技術の開発・研究への期待についても述べる。

略歴
徳川義崇

昭和36年(1961)8月生れ、 東京都出身、 学習院大学 経済学部経済学科 卒業。 尾張徳川家22代当主、公益財団法人徳川黎明会 会長、 徳川美術館 館長。 名古屋市博物館協議会 委員、全国美術館会議 副会長、(公財)日本博物館協会 理事。 名古屋大学 参与。 IT分野にも興味を持っている。


特別講演2:「文化財のデジタルアーカイブとVR公開」
加茂竜一(Ryuichi Kamo)
凸版印刷株式会社文化事業推進本部

概要

凸版印刷では、デジタル印刷技術を文化財分野に活用し、絵画、文物、寺社建築物、古墳、考古埋蔵物、城、フィールド等の幅広い文化財を対象に研究や公開等様々な用途に適応させるための技術を導入し多くのデジタルアーカイブを推進してまいりました。また、デジタルアーカイブの公開手法として1997年よりVR研究開発を開始、国内外の文化財コンテンツを様々な用途で公開し、既に40作品を超えるコンテンツを東京国立博物館VRシアター等で多くの方々に高い臨場感で体感していただいております。本講演では、凸版印刷のデジタルアーカイブの基本的な考え方とその基盤となる三次元計測やカラーマネージメント技術、さらに公開手法としてのVRについて事例と映像を交えながらお話いたします。

略歴
加茂 竜一

凸版印刷株式会社 文化事業推進本部担当部長、 一般財団法人デジタル文化財機構研究主幹、 筑波大学連携大学院教授、 東京大学大学院特任教授。実績・作品として平面物のデジタルアーカイブ/バチカン教皇庁図書館所蔵グーテンベルク聖書、ウフィッツィ美術館収蔵作品、米国ホイットニー美術館、国立西洋美術館、東京国立博物館、国際日本文化研究センター(絵巻、文書、古地図)、東京大学総合研究博物館、松本市所蔵「宋版漢書」、印刷博物館収蔵品(解体新書等)、バチカン所蔵Palimpusest解析プロジェクト等。 立体物のデジタルアーカイブ/仙台城城壁、九州彩色古墳の三次元計測と色彩計測研究(西都王塚古墳、弁慶が穴古墳、千金甲古墳等10ヶ所)、東京国立博物館蔵「色絵月梅図茶壷」「八橋蒔絵螺鈿硯箱」、旧函館区公会堂、法隆寺「聖徳太子絵殿」、東大寺仏像等。 VRコンテンツ制作/京都市元離宮二条城、洛中洛外図屏風舟木本、適塾・懐徳堂、興福寺阿修羅像、名古屋城本丸御殿CG復元等